ユーリ・ノルシュテイン展

どうもどうも、みなさん、荒川線に思い入れタップリですね(笑)。ありがとうございます。

GW最後の4日&5日、葉山〜鎌倉あたりをウロウロしてました。宿がいいとこにとれず大船のビジネスホテルに一泊、しかも家族が二部屋に分かれたり。5日は懐かしの友、鎌倉のセッキーの家にいったのだけど、それはまた後ほど写真入りでご報告。

ちょうど葉山にある神奈川県立近代美術館の別館で、ノルシュテインの展覧会をやっててね。ロシアのアニメ作家で、奥さんが絵を描いていて、ダンナはそれを動かしてフィルムに撮影する。なんていうんでしょう、とっても幻想的な、詩的な絵作り、話法で、ちょっと他のアニメとは完全に別格。僕も妻も大好きな人で、特に'79年の「話の話」という30分の作品は、生涯観た全ての映画作品の中のベスト1にしてもいいと思ってるくらい。セリフのない映画なんだけど、本当にいろんなことが詰まっていて、いろんな感情に揺さぶられる映画です。何度観ても、30分間、息が止まりそうになるくらい、食い入るように見てしまう。

これから全国を巡回するんだけど、要するに今までの作品の撮影素材とか、絵コンテとか、絵本用に描いた絵とか、そういうのがズラリ。かなりの物量だったけど、そもそも映画に思い入れのない人にとっては同じような絵や落書きのオンパレード???

でも、すごく良かった。特に「話の話」の部屋はもう……(うちに長年、この作品の絵のリトグラフが一枚飾ってあるんだけど、その原画もあって不思議な気持ち)。撮影素材をこう立体的に並べて、光源なんかも用意してあの映像の世界を再現してるものがいくつかあるんだけど、その重層的な空気感とか光感がもう本当に素晴らしくて。要するに、撮影していたときの撮影台の状態を再現したような……で、一番手前のセルって無数の傷がつけてあるのね、ただただ、雨みたいな角度で。で、ああ、これがピンボケになったときに、あのなんとも言えぬ汚れ感が出るんだなあって。あと、光もその傷で乱反射してからカメラのレンズに入っていくんだね、きっと。とにかくそれに驚いた。

でもでも、どんな展示物よりも、小さなTVモニターでほんの抜粋で見せている未完の「外套」のフッテージにはかなわないと思った。やっぱり、この人たち(彼と奥さんと)はアニメになって最高の状態になる人たち。前にも何度も見てるはずなんだけど、改めてスゴイと思った。とにかく何がどうなってるんだか分からないもん。絶対にCGではできないし。横で見ていた小さい子のお母さんが「これはアニメ? アニメ?」と何度も言っていたけれど、その気持ちはよく分かる。

でも、きっと完成はしないんだろうなあ……もう作り始めて30年……すごいよねえ……。