大仏マトリョーシカ
直接、僕は担当していないのだが、9月から12月まで、毎月1作品、フランスの映画監督ルイ・マルの映画をDVDにして発売している。一番最後、12月に発売する「地下鉄のザジ」という映画は、小さい女の子がパリでドタバタを繰り広げるコメディで、DVDのジャケットを100%ORANGEさんに描いてもらったらどうだろう、と思いついた。100%ORANGEというのはご夫婦のユニットのイラストレーターで、近年はもの凄い量のお仕事をされており(前にこの欄で紹介した本「どんと来い、貧困!」の表紙や中のイラストもそう)、一番有名なのは新潮文庫のキャンペーンのキャラクターYonda?だろう。パンダのイラストのアレです。新潮社が出している文芸誌「Yom Yom」の表紙もずっとやっている。
実は、以前、脳科学関係というか脳障害が引き起こす特殊な才能についてのDVDを2枚出した。そのうちの1枚「ブレインマン」は講談社から自伝「ぼくには数字が風景に見える」が出ている英国のサヴァン症候群の人、ダニエル・タメットのドキュメンタリー。円周率を2万桁も暗唱でき(彼はそれを覚えているのではなく、頭の中に景色が浮かんでそれを数字に読み替えているだけなのだと言う)、いろんな国の言葉をすぐに話せるようになるという特異な能力を持った人です。講談社のその本が既に100%さんのイラストだったのでそれを流用させてもらい、もうひとり、同じサヴァンで映画「レインマン」でダスティン・ホフマンの演じた役のモデルになった米国のキム・ピークという人のドキュ「リアル・レインマン」もあったので、そっちは新たに描き下ろしてもらった。そこで既にお付き合いが少しできてたわけです。
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リアル・レインマン 『レインマン』のモデルになった僕 [DVD]
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僕自身は「ザジ」だけを考えていたのだが(なにしろ以前出していた作品の出し直しということもあって、あまり予算が取れてなかった)、担当のTちゃんが「どうせなら全部……」と言い出した。あまりスケジュール的にも余裕がなかったので、これはもうダメで元々と思って電話をしたら、意外やご快諾いただいて、というか、むしろ「やりたい」くらいの勢いのお返事をいただいた。考えてみれば、外国の映画に日本で勝手にイラストを作ってそれを表紙に使う、ということはあまり例のないことかもしれない(もっとも、その時点ではフランスの権利元にはなんの了解も取っておらず、もしかしたらNGが出るかもしれないと思っていたのだが、結果はOK)。そこの部分を面白いと思っていただいたのだろうけれども、まずは全体の概要をご説明に、と、僕とTちゃん、そしてデザイナーのこっちもT氏と3人でオフィスを訪ねたのでした。あれは、お盆前くらいのことだったかな?
仕事の話はなんの問題もなく終わり、いろんな四方山話もしつつ、帰ろうとした時に目に止まったのが、大仏のイラストがかかれたマトリョーシカであった。マトリョーシカというのは、人形の中にまた人形、その中にまた人形……と入れ子になったロシアの民芸品である。それが、100%さんのタッチによるメチャクチャに可愛いイラストで描かれた大仏柄になっているのである。
「これは鎌倉にある沼田元気さんのお店でもうすぐ売り出すんですよ」
ウワー、それ欲しいなあ、と思っていたものが、先週末、ようやく発表になりました。なんと「100%ORANGEのこけし展覧会」というイベントで。そして早速お店を訪ねたTちゃんが、買ってきてくれたものを今日、会社に持ってきてくれました。
どうです? メチャ可愛いでしょ???
左のは風船持ってるバージョン、右のはモノトーン・バージョン。モノトーンのは実は後ろに……
見えにくいとは思うけど、虫がいるんです。大きいのにはセミ、真ん中のはチョウチョ、そして一番小さいのは足の裏に(この大仏はどうも正座してる模様)アリ。
いやー、会社に並べてると、ホントに癒やされます。マトリョーシカって、ロシアのオバチャンが見本を見ながら全部真似して手描きなんですって! だから一個一個、微妙に表情も違って、けっこうイーカゲンだったりする(笑)。Tちゃんは現場にいた100%さんに(ってのもヘンですね……お名前は及川さんです)「よく見て選んだ方がいいですよ」と言われたそうです。
こけし展の情報はコチラ。ほかにも手ぬぐいやコケシを描いたシルクスクリーンの販売なども。
100%さんのページはコチラ。
そして、現在までのルイ・マル作品もご紹介。「死刑台のエレベーター」は凄く売れてます。嬉しい。「さよなら子供たち」は出たばかり。こっちもガンガン売れてちょうだいヨ〜。そして、残すイラストとあとは「ザジ」だけだ! オレンジ先生、素敵なイラストよろしくお願いします!
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