震災写真。

 我が家の長年の友人、マゲジこと川上靖雅さんは岩手の出身で、仕事はカメラマンだったりヘルパーさんだったり。その彼が故郷に戻った折、被災地の大槌町の写真を撮ってきて、それが今、川崎市多摩区の区庁舎の1階ロビーに展示されている。今日、一家で見に行ってきた。マゲジもいた。

 写真はけっこう大きくプリントアウトされたものもあって、正直言って言葉もないです。マゲジに「どうもならんね」と言ったら、「どうもならんよ」と。写真では左右が切れてるわけだけど(天地もだけど)、「360度、この光景なんだよ」とマゲジ。

 その場にいたのは1時間くらいだったということだけど、最初は写真を撮ろうという気にはならなかったそうだ。そりゃそうだろう。だけど、カメラマンだし。落ち込まないためにも撮ったと言っていた。撮らずに自分の中にだけ抱えて帰るのが怖かったんだろう。そういう気持ちもなんとなく分かる。

 でも、もうフレームがどうとかじゃなく、ただただ泣きながらシャッターを切るしかなかったと言っていた。これだけの光景を前にすれば、構図を取る、なんてのはおこがましい。と言いながらも、撮れてるものにはそれなりの配置や着目があり、それもまた人間の行いだし、プロとしてずーっとやってきた人の習い性だと思う。

 テレビで映像を見たり、新聞で写真を見たりするのとはまたちょっと違ったインパクトがある。ひとつひとつの光景と自分が対峙することを迫られるとでもいうか。その時間を持てて良かったと思う。これが「仕事」かどうかは分からないけど、いい仕事だと思う。沢山の人が見入っていた。写真家の視点とかではなく、写っているものそのもの。それが写真の本質であるとも思う。

 18日までだけど、また余所でやる機会を探してるようだ。